2020/10/22 11:24

しかし現在は県境を跨いでの移動の自粛が続いており、しばらく釣りに行っていないので、悶々とした日々を過ごしています。釣果の話が書けないので今日は、鯛ごころ誕生の秘話をお話し致します。
あれは10年くらい前の2月の寒い日のことでしたが、その年は例年より水温が低く、当日は8℃くらいしかありません。低水温に比較的強い鯛も10℃を下回ると早朝は体を横にして、水面をクルクルと回っていたのが思い出されます。
当然、魚たちは食い渋り 次から次と餌を取り換えても、ウキの反応も無く時間だけが過ぎていくのです。しかし、一人だけ頻繁ではないですが、ポツポツと竿を曲げている人がいたのです。
退屈なので その釣り人の横に座り、何のエサで釣っているのかと覗くと、見たこともない団子エサを使っていたのでした。話し掛けてもなかなか そのエサの秘密は教えてくれませんでしたが、時間が過ぎだんだん打ち解けてくると少しずつ喋りだしてくれたのでした。
その人は、四国の香川県に住む方でした。地元の釣り人たちは、それぞれ各自が独自の手作りエサ(団子・練り餌)を作り、防波堤や磯などでチヌ(黒鯛)などを狙っているというのです。
各自が独自の材料を混ぜ合わせて作り、使用する材料は他人には漏らすことなく秘密にしているとのことです。
その方のエサは、最低でも6種類くらいの材料を絶妙のバランスで配合して作るらしく、全ての材料は教えてくれませんでしたが、その中の一つはアミエビを使う。それともう一つはヘラブナ釣りの餌。それと、各種の材料の繋ぎの粉。それ以上のことは教えてくれませんが、誰も魚の釣れない状況の中で、このエサだけは釣れている。それを目のあたりにして、自分も作りたいと強く思ったのが、鯛ごころ作りのスタートでした。
それからが試行錯誤の連続です。出来上がったエサを持って試し釣りに行く「柔らかすぎて針から落ちる」「バラケすぎて直ぐに無くなってしまう」「良い感じに出来たが、魚が食わない」など、色んな苦労を重ねて現在にいたりました。
人気の「赤い鯛ごころ」には、もちろんアミエビが多く入っていますが、プラスして違う数種類のエビのすり身も加えています。そして最大の特徴は私の住んでいる地元の有名な農産物を加えて少し粘りを出していることです。
練りエサの「ミック」をイメージしていただければ幸いですが、手に取って丸めていただければ違いがはっきりとわかります。それに魚の油を少し加え、魚が反応する微かな匂いを付けています。これ以上は秘密ですが、あと数種類の材料を加えて作っています。
しかし「鯛ごころ」は自分の中では完成型とは思っていません。これからも試し釣りを続けていき、もっと釣れるエサに改良していきたいと努力を重ねてまいります。
釣行の時、釣り餌の一つとして「鯛ごころ」を持参していただければ幸いです。
